黄金週間と言う堕落した四日間が終りを向かえ、情け容赦なく目を背けていた現実が私の目の前に現れ始めた。しかし私はあえてそれに抵抗しようと思う。私は断じて目を背ける。目前にレポートの提出日と言う難題が鎮座しているが、見えない。見えないから、やらない。
さて、
先日言及した本棚の件ではあるが、予定通り昨日我が家へ無事到着した。サインをして受け取るが、意外に重量感を感じる。序に我が家の玄関は狭く、様々の物を陳列、世間で言うところでは放置している為、品物の一時的な置き場所を確保するためにしばし四苦八苦する羽目になり、配達員様の眼前でそこはかとない醜態を晒す結果となった。
とはいえ一人暮らしなどこんなものだろう。どうせそうだろう。そうだ、そうに決まっている。よって私は目を背ける。ここら辺、筋が通っていると言えなくも無い。
さて、先日は「バイトがある」と嘆いてみたが、届いてみると想定以上に時間があった。元来何の目的もやる気も自己を律する習慣も持たない私である為バイトの時間まで睡眠を貪ろうかとも考えたのだが、玄関からキッチンにかけて発される絶大な存在感に圧迫され、泣く泣く手をつけることにした。何故か言いようの無い敗北感のような物を感じたが、とりあえず私は目を背ける。
しかし組み立てる場所が無い。我が家の床においてある物を整頓する為に購入した棚ではあるが、棚が未だ完成していない以上整理など夢のまた夢、大久保利通無き明治維新のようなものである。どうしようもないので最低限のスペースを確保する為にそれ以外の場所に更なる混沌を強いる事にし、本棚を開封した。モチロン混沌からは目を背ける。一貫した姿勢を自画自賛できなくも無いが切ないので止める事にした。
さて、本棚自体は急激な速度で出来上がった。私の腕がいいのか、それとも設計した方が天才なのかは判別しかねるが、私の長年にわたる不器用さを考慮に入れるにおそらく後者であろう。
完成品を立ててみると、なるほど、中々堂々たる威容である。高さ180cm、幅60cmに渡るその風貌は、威風堂々、とは言えないまでもその存在感は疑うべくも無い。黒色の無愛想な表面色も、引き締まっていてなんとも頼もしい。
擬音語で表すと・・・なんであろうか。「どーん」では無い。少々大きい。「どかーん」では動的に過ぎるだろうか。やはり「ぬーん」が最もしっくり来る。「にゅーん」でもいいが、この本棚の持つ硬質な静謐さを感じるに、やはり「ぬーん」に勝る適応性は他には見当たらないように思える。
そんな訳で、私はこの本棚を「ぬーん」と名づける事にした。実際にその名で呼ぶ事は恐らく未来永劫皆無であろう、ということだけは断言できることを、最後に付け加えておこうと思う。
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