何の変哲も無い小説だと思う。
少なくとも、これを読んで差別について深く考えさせられる、というようなとんでもない鬱要素を持った小説なんかではない。
たぶんこの筆者さんは、歴史認識うんぬんのお話(それこそ有象無象の神話が渦巻く、議論するのもアホらしい様なカオスの世界)にこの話を持ち込みたくは無かったんだと思う。だから深い葛藤とかもないし、心に響くような言葉だって無い。
ただ単純に、世の中の抑圧とかそういうものを、若い世代の勢いと思い切りに任せて突き破っちまえ!!というような爽快感に導いてこうとするお話で、形態としてはありきたりとすら言えるのではなかろうか。
ただそれ故にテーマっていうか主題みたいなのは明確になっていて・・・誤解を恐れずに言えば、それを読んでもらおうとしている小説みたいだった。「考えてもらう」のではなく、「読んでもらおう」としている気がした。
だからスッキリしている。無駄が無い。たぶんこの人はありきたりな小説を書いている。ただ、そのテーマに在日を書いたのはきっと偶然じゃない。
最後に本帯にあった山田詠美氏のコメントを引用。
『古き良き青春小説の系譜として読むか、新しいレジスタンス小説の誕生として受け止めるかはあなたの御自由。いずれにせよ、愉快、痛快なこの物語の主人公に、読者は、はからずも涙する。』
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