悩む。
何を悩むかって、何の映画を観るかである。
僕が今一番見たいのは「ノーカントリー」である。90%僕にとってつまらない映画だと自信が持ててしまう気がするのだけれど、なんせアカデミー賞取っている。気になるじゃないか。とても。ひょっとしたらメチャクチャ面白いいかもしれないじゃないですか。やっぱり。
本来なら、「一人で見るのもな・・・」というような感じで気後れしてしまうのだ。未だに映画を一人で見つめる気にはならんのである。映画館って広いし。
しかし今回は普段と違った。
今回はなんとグループで映画を観に来たのである!!これで僕の孤独感は解消された。人が居るのはやはり心強い。
しかしここである障害が立ち上がる。それは、
別に「ノーカントリー」を観るとは限らないと言う事だ。
寧ろ皆は別の映画を見たがっている。「ノーカントリー」を見るのは難しい状況だ。だが、映画を観に来れる状況は非常に稀である。この二つの、巡りあい難い命題を如何に両立させるか・・・僕は一つの決意を決める。
決めた。誘導してみよう。幸いみんなどの映画を観るか喧々諤々の議論中だ。ここで自分の存在感を発揮する事により、望む形へ状況を好転させるのだ・・・
ただそこにも問題はある。冒頭に述べたように、
僕はこの映画の娯楽的な面白さに全く自信が無い。。これは衝撃的に不利な条件である。問題なく、且つ今後の憂い無く目的に達するには、
自らが「ノーカントリー」を見るように誘導するにもかかわらず、自らが誘導したという印象を如何に薄くするか、という或る意味相反した事項を両立させなければならないのである!!僕は悩んだ・・・如何にこの目的に到達するべきか。正直言えば、これは間違いなく不可能と言えるくらいの難題である。何せマイナスポイントしかない。無関心は不意打ちとして好結果をもたらすこともあるが、何せR-15という時点で皆一旦敬遠しているのである。最早背水の陣。逃げ場無く前門の狼後門の虎といった状況である。
しかし、と僕は自分に言い聞かす。窮鼠は猫を噛まねばならぬ。噛まねば窮鼠はさらに窮するのみなのだ。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ・・・・・そうだ、僕は今までもそんなに存在感が無かったじゃないか、その状況で培われた状況判断に全てを賭けようじゃないか!!!
そして僕は、全身全霊の力を込めて、言った。
(ボソッ)「・・・・俺的には『ノーカントリ−』をか観たいなぁ・・・」完璧、完璧だった。皆に絶妙に届くか届かないかの声のボリューム、自信なさげな台詞のトーン。全てが完璧、パーフェクトだった。これ以上の行動は無いだろう。
自分の目標を全て念頭に置いた上でのギリギリの駆け引き。僕は平静を装いながら、心の中で激しくガッツポーズをした。後は結果を待つのみである。
そんな中、ある女子が言った。
「あ、私ドラえもんが観た〜い♡」「ドラえもんか〜、いいかもね」「そうだね」「確かに」「久しぶりだし」
絶妙な横槍だった。こちらの意図を全て吐き出させながら、その上で自らの希望を上乗せするその技術・・・僕の結果を全て読んでいたとしか思えない。
現にもうその場の流れはドラえもんで統一されつつあった。もう僕の希望が入り込む余地はどこにも無い。完全なる敗北である。
僕は件の発言をした女子を観た。きっと、奴はその笑顔の裏でキラみたいな笑顔を隠しているのであろう。「
お前など私にすれば虫けらのようなものよのう。フハハハハハハ!!!」と言われている気がした。
僕は敗北感にまみれながら「ドラえもん のび太の緑の巨人伝」を観た。微妙だった。みんな寝てた。
※この話は大概ほとんどフィクションに近いです。==========================
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