風邪をひいた。
至極単純な現象である。そこに至る原因が、普段の不摂生な食事にあるのか、はたまた慢性的な寝不足による体力低下に因るのか、若しくはそれらが複雑怪奇に絡み合った挙句の結果なのかは僕にはそう易々と判断できぬ物である。
現在確かなのは僕が風邪をひいたという事実と、それにより頭痛・吐き気・関節の痛み等が仲良く時を合わせて襲ってきたという現実であろう。まあ、バラバラに訪問してくるくらいならば一時に来てもらったほうがこちらも悩まずに済むと言う物だ。6社ほどが30分おきに示し合わせたような定期さで新聞の宣伝に来襲するよりは、一時に6社が集結し、やれ我のだそれ我のだと喧々諤々の議論を目の前で繰り広げていた方が、「おおよしよし、君達も必死なんだねぇ」とまだ可愛げがあると言えるのかもしれないではないか。
だからと言って風邪の諸症状に対し思わずにやける様な親密さを感じるかと言えば、そんな物を全く感じないのはそれこそなんの疑いも無い事であり、寧ろ恨むべきこの憎き悪寒に対して激しき憤りを感じざるを得ないと言うのはまた自明ですらある。故に僕はこの風邪を恨むべきなのだ。多少の親愛を感じる要素があったとしても、それが忌むべき物であることは疑いようの無いことであり、そう考えれば病と言うのは実に卑怯である。元々憎まれる要素しか無い中で、それを覆い隠そうと新たなる表皮を身にまとう、その姑息さ足るや万死に値する。
そんな訳で、僕は風邪を憎む。この恨みを掻き立てるだけのこの存在を我が精神から一掃すべく、僕は本日早めに床に入り込み、大いなる休養を我が体に与える事としよう。レポートなども存在した気がするが、大義の為である。致し方ない。
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