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アンニュイな日々の外で 野茂、幻想と現実と。

野茂、幻想と現実と。

オリックス、野茂獲得に動かず=プロ野球


野茂と言えば我が灰色な日々の中でも衝撃的な色彩を持って踊る人物の一人である。実際に自分の半生が真灰色であったのかと尋ねられると「はいそうです」と軽々しく言えない位なかなか面白い日々も多々存在したのであるが、幾つかの選択を誤って行き着いた現在を見つめなおすに至ると、モノクロとの表現もあながち間違いではあるまい。本来断じて直視を拒否するような事実ではあるが、野茂と言う光芒と比すればあの時期のどの大人の人生がカラーになろうか。せいぜい白黒、良くてニコニコのエコノミー画質が関の山であろう。それほどまでにあの頃の野茂と言う人物は輝いていたように見受けられた。


一概に言及する事は危険な行為ではあるが、日本人と言う人種は非常に他者からの評判を気にする民族である・・・というのはあながち間違いでも無いだろう。かく言う私は病的に他者からの評判を気にするちっちゃい男であり、その対象は私の友達からの評価や我が母校が如何に見られているか、自らの好きなラーメン屋の評判はどうか、まで多岐に渡る。もちろん評価が良い事ばかりではないので心の休まらない事漣の如し。そんな中、私が住む日本と言う場所に特大の荒波を届けてくれたのが野茂秀雄という存在だった、と言うと聊か大袈裟か。

しかし、野茂英雄と言う色彩は実に鮮やかで眩しかった。快刀乱麻、という言葉は野茂英雄という投手の為だけにあるのではないかとすら思った。その上彼は復活した。一度消え、私の目の前から消え、しかし再び舞い戻ってきた。その度に私は自らの視界と価値観の狭さを恥じた。


さて、再び戦力外と言う通告を受けてしまった彼ではあるが、その彼に対しオリックスは「要らん」との結論をいち早く出した。様々な意見が御座ろうが、野茂の全盛期、そしてその野球人生を間接的とはいえ断片的に見たつもりになっている私から言えばオリックスは阿呆である、と言いたくて堪らない。私の胸中には今も「野茂はこんなもんではない」という信仰にも似た思いが渦巻く。しかしながら、疑う要素を持った信仰は懇願へと残酷に姿を変えてしまう。白状すれば、野茂が再び復活し得るかについて、私が微塵の疑問も持っていない、と言うには我が精神は幼すぎる。
野茂に、誰か活躍の場を与えて欲しい。しかし、野茂は復活せねばならぬ。野茂はバッタバッタと打者を切り倒し、圧倒せねばならぬ。いや、そうなるに違いない。きっとそうだ。そうに決まっている。たぶん。


これは幻想であろうか。せめてそれを証明する場を、どこかが与えてはくれないのだろうか。
それを託すに、賭けるに足る日々を、野茂英雄は残してきたのだと思うのだけど。



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