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アンニュイな日々の外で 聖火は心臓ではあるまいよ。

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聖火は心臓ではあるまいよ。

日々の鍛錬、確固たる実績、確立した自我等自らの自信へと変わりうる物を一切持たない私ではあるが、ことに自らへ「死ね」と命じた回数であればこれはもう随一であると自負する事が出来る。一日に3度は自らにそう命じるが、だからと言って何をするでもない。僕の体は極簡単に、華麗に、自らの命令を受け流す。まるで国際批判を受ける中国のようなものだ。「チベットを開放せよ」と言われスルー、「五輪できるのかよ」→スルー、「人権・・・」→スルー、「利上げしようよ・・」→スルー。そのスルーっぷり足るやなにやら極めて空気の読めない新入生のようでもあり、それでありながらもう50年も存在を許されていると言うのはなにやら羨ましくもあり、その面の皮の厚さと共に私が求めている物でもあってなにやら複雑である。
詰まるところ、この世はギブ・アンド・テイクなのだろう。中国が与える物は利権と恐怖、人気者が与えるのは笑いとムード。そのどちらも持ち合わせぬ私は、やはり地道な事をするしかないと改めて見せ付けられたようで「だからなんだ」と強がりを言ってみる。言って終りである。


さて、冒頭に戻る。
命じると言うのは実に容易い。とはいえ自らに幾ら命じても脳は思考を止める事は無く、心臓の鼓動が止まる事は無い。聖火と同じでどれだけ妨害され、非難され、罵声を浴び、望まれなくても続くその様足るや実に滑稽でもある。実際にそこまで酷な叫びを我が体や精神に与えた覚えは無いが、我が存在が滑稽である事にそう変わりは無いのではないか?しかし心臓は動く。脳も働く。ここまで働き者の彼らが我が体へと至った結末について私は同情を禁じえない。その勤勉振りはもっとその労力を有用に使える方に用いられるべきだったであろう。
しかし私は最早心臓を手放したくは無く、脳を取り出されたくも無い。自らに「死ね」と言いながらも結局の所私は死にたくは無くて、だからこそ彼らは残念なことに私と一生お付き合い頂く。重要だからこそ取り外しが効かないというのは皮肉に満ちているではないか。


そんな我が心臓に似て滑稽な聖火リレー。ここで各国の警備部隊は実に全く惚れ惚れとするような警護ぶりを見せ付けている。こちらが「あんたらそんな能力あったのか」とため息をつき、「それを検挙率に結びつけい」とか、「これで汚職が無ければなぁ」とか漏らしたくなるほどである。序に「冤罪も止めて欲しいなぁ」とか付け加えても良かろう。とにかくそれほどの水も漏らさぬ見事な手際であった。
しかしながら、それは「中国五輪の聖火リレー」の為だけに費やされているのである。



可笑しいではないか。

聖火リレーは重要かもしれないが、心臓ではない。これが無くなっても国は死なぬ。だったらそのエネルギーを他に使えよと。まだ他にやることあるだろと。是だけの金と時間を費やして「滑稽だ」と言われる必要はあったのかと。

あるまいよと。私は思うのである。


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