風が吹けば桶屋が儲かるとはよく言ったもので、これほど世の心理を突いた言葉は他にそう無いように見受けられる。
予想もしないことが物事の原因になっているって言う現実。世に言うカオス理論である。違うかもしれんが気にしないことにする。
しかし、普通に考えれば雨降れば客減るというのが一般的な発想である。言うなれば桶屋が儲かったのではなく風車屋さんが儲かると言う安直な発想を私のような凡人はしてしまう。誠に恥ずべき凡庸さではあるが、齢をこれだけ積み重ねればもう動かしようが無い。
ただ、実際にその通りになった。我がバイト先はいつもの嘘のような忙しさは全く無かったのだ。ガラガラだったと言う訳でもないのだが、いつもに比べれば楽であった。つまり、風が吹いて桶屋が儲からず風車屋が儲かった状態であり、真に不可思議な事もあるものだと思わざるを得ない。この場合バイト先は儲からなかったので桶屋であるから、桶屋と風の関係は雨とバイト先の関係と同じになるわけで、とか考えるといろいろ面倒ですね。止めますね。意味が解りませんね。
しかしそんな中にも一人、有名人が降り立った。その名”黒天使”沼沢邪鬼。
・・・・・知らんか。
気になった人はウィキで検索してみるとよろしい。ニコニコでもいいが、血とかダメな人はご自愛なされるよう忠告だけさせて頂く。
気付いたのはバイト先の同僚であり、私にしても「こいつ・・・よく気付いたな」と思わざるを得ない妙技・眼力である。しかし、甚だ残念な事にその時沼澤邪鬼殿を知っているのは私とその同僚のみであった。逆にそのことが、私達二人のテンションを妙に上げてしまった訳だが。
とはいえ、私にも「すいません・・・沼澤選手ですか?」などと面と向かって尋ねるような非礼をしないだけの自我はある。第一息抜きとして我がバイト先に来ていただいている方に無用のストレスを感じさせたくない。
よって私と同僚は話し合い、「会計時に尋ねる」と言うことで意見の一致を見た。
そして会計である。しかし、悲しいかな、私はお皿を提げねばならなかった。痛恨の極みである。
急いで戻ると、同僚が満面の笑みで「握手してください」と言っていた。それの乗じて私も「あ、僕もいいですか?」と尋ねた。
”黒天使”沼澤邪鬼選手は、とてもとても優しい方でした。
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